障害者のことを初めて真正面から考えたのかも知れません

障害者ってだれのこと 荒井裕樹著

この本は中学生むけに書かれた本ですが、とっても深いです。

私は、障害者です。

でも見た目ではわかりにくい障害なので、信じてもらえないこともあるくらい。

人から「黙っとき!黙っていたらわからない」と言われてモヤモヤします。

障害者であることが知られたらいけない。という意味ですよね。

そんなに障害者は存在してはいけないのか?

この問いを真正面から取り上げる内容です。しかも中学生にわかるように。

少し抜き書きします

ーーーーーー困っている人が言わないと、社会の中の差別が差別かどうかも議論されないの?

 そうなんです。困っている人がたちが言わないと議論ははじまらない。

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障害者が街へと出ていくことで、じつは街の中は段差だらけだったり、駅には階段しかなかったり、電車やバスは車椅子では乗れなかったりと、様々な問題が見えてきました。障害者たちは、あの手この手で「街のあり方を変えてほしい」と様々な要望を出して、駅や建物にエレベーターが設置されるようになり、ノン・ステップバスが走るようになり、駅員さんが乗車を手伝ってくれるようになってきました。

 そのおかげで、ベビーカーを押している人も、足腰が弱くなってしまった高齢者も、けがをして松葉杖をついている若者も、助けられることが多くなってきたわけです。

 

ーーーーーーそうだったんだ、そういう運動によって、社会のあり方がいろんな人にとっても助かるように変えられてきたんだ。

そうです。障害者の歴史を調べている研究者として言わせてもらえば、障害者運動というのは「社会を耕す」営みです。

 

ーーーーーー言葉の当事者性って

その言葉って本当にあなた自身の中から出てきたものですか?という視点です。

例えば非正規雇用の問題がとりざたされて久しいですよね。会社は人件費をケチらないで正規雇用の人を増やすべきだとか、賃金を上げて身分や生活をきちんと保障すべきだとか、そういった声はいたるところからあがっています。現に、どれだけ働いても生活保護以下の給料しか稼げないワーキングプアの問題も深刻です。似たような問題で、社会保障をもっと充実しろという声もあがっています。たしかに、いまや高齢者が年金だけで生活するのはかなりきびしくなっている。

でもこうした意見にたいして、企業の利益率を高めるために人件費を抑えるのは鉄則だとか、財源はどうするんだとか、こうした反論のしかたをする人がいます。

 これって、企業の経営者や財務省の役人が言うなら、賛成はできないけれど、話としてはわかるんです。経営や予算に責任を負わされている人は、こう言うしかないときもあるでしょう。でも、そうでない人からも、なぜかこうした意見が出てしまうことがあります。その人自身も非正規雇用で不安定な働き方を強いられているかもしれないし、将来の年金に不安を持っていたり、現にそうしたお金が足りなくて苦しんでいるかもしれないのに。