星の子アルフェを見て


2013年の日本賞を受賞した「星の子アルフェ」の録画を時々見る。

アルフェは5歳になったばかり。遺伝病により、筋肉と神経の発達が遅れている幼女。知的障害があるかどうかはわからない。
でもどう見ても、同世代の子どもより発達が遅れている。
まだ数が数えられない。

アルフェ:1・2・3・4・・・・・・・6・7・8
パパ:「5」
不思議そうな顔をするアルフェ、5が抜けたことに気づいていない

口の形と筋力が足りないせいか、言葉がうまく発音できない。
コリン:コアラって言ってみて。
アルフェ:コアア。

彼女の発達を促すため、両親は賭けにでた。
妻のふるさと、ヨーロッパの雄大な自然環境の村で一年過ごすこと。
周辺の山々に登り、今まで以上にアルフェに寄り添い、彼女とともに生きる実践。

アルフェには友達がいない、カナダケベックの町のこどもはアルフェのことを「怪獣みたい」という。
人からどんな目で見られているかアルフェは知っている。
アルフェは、頭の中に友達をこしらえた。
タンタン、ライオン、クジラ、お馬さん。
一人になると、その友達と遊び始めるアルフェ。
父はそんなアルフェを見ると冷や汗がでる。

両親は地元の保育園にアルフェを通わせた。
アルフェには友達ができるのだろうか。

人と目を合わせないアルフェ。
先生やクラスメートの話をちゃんと聞いているのか判然としない。

でも、ちゃんと聞いていた。クラスメートを名前で識別していた。
先生:「これ誰の帽子?」
アルフェ:「パリス」
先生:「パリスの帽子なの?ありがとうアルフェ」
アルフェ:「シャルロット私に家にきたい?」
シャルロット:「・・・・」
いじめっ子がやってきて、アルフェにちょっかいを出す「ねえイヤっていえる?」アルフェ「・・・・・」

アルフェは、パパと一緒にいるときはおしゃべりだ。
色々なことを話す。
牧場の中にあるトランポリンで飛び跳ねるアルフェ。
パパ:牛は何を食べてるの?
アルフェ:草。
パパ:なんのために?
アルフェ:大きくなるため。
パパ:アルフェはどうなるの?
アルフェ:大きくなる。
トランポリンで飛ぶアルフェにパパは更に質問する。


パパ:そんなに飛んで、飛べるようになったらどこへいく?
アルフェ:ネバーランド
パパ:えッ。なんていったの?
アルフェ:ネバーランド。大きくならないところ。

アルフェは詩人だ。多分生まれながらの。


アルフェは驚くほど発達した。
数が数えられるようになったし。言葉も以前よりスムーズに出てくる。

幼稚園の先生は言った。「はじめは自信がなかった。でもアルフェが他の子に与える影響を知っていたら、ぜひ来て!と言っていたと思う。アルフェは今の社会にないものを持っている」

パパはアルフェとともに過ごした時間からアルフェを理解し願った。
「世界で一番ゆっくり大人になって」と。

もうパパは不必要にアルフェの将来を悲観したりしない。アルフェもパパも他のみんなもみんなおんなじ地球のこども。